屈折した母の愛情と現実から逃げ出し現実を見た少年の話 【田園に死す】
一番の見所は母親が赤ん坊を川に流す場面で陰鬱な音楽と共に川上から立派な雛壇が颯爽と流れてくるシーン。
爆笑。
余りにもシュールかつ意味不明過ぎて笑うしかない。
このシーンだけでも見て欲しい位インパクトが凄い。そしてきっと何の意味も無い。
そもそもこの映画の内容に意味があるのかどうかが分からない。
視覚的に強烈なシーンや随所にメッセージは感じるのだが、お話としての整合性というか内容は重視していないのかなと思いました。
観賞中は夢の中に居るような感覚で、まるで不思議の国のアリスの様な摩訶不思議な登場人物と展開が続く。
ただこの映画はワンダーランドではない。
人間は狡いし、弱いし、醜い部分を多分に含んだ生物であることを再認識させられる様な描写が散見される。
故に人は面白いのだということも伝わってくる。
そして話の根幹は過保護で息子に依存する母親という存在と、母の歪んだ愛情に苦しめられる息子が現実から逃げ出し現実に傷つけられるというものだ。
相手を見守ることも愛情であり、現実から逃げた先に居場所は無いのだと思う。
不思議な映画だが、唯一無二の魅力あふれる映画だと思う。